
法的な効果を期待して遺言書を作成したいのならば、民法はもちろん相続手続に関わるノウハウを把握した司法書士・弁護士などの専門家にご依頼することをお勧めします。
ご自身の把握している知識の範囲で作成される場合、後々相続人の方に多大な負担や迷惑を掛けてしまう可能性もあります。
それぞれの遺言書の書き方とメリット・デメリット
一言に「遺言」といってもいくつか種類があり、大きく2種類に分けられます。
ここでは、それぞれの遺言の特長・書き方をメリット、デメリットを含めてご紹介します。
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自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、文字通り、本人が自筆で書く形式の遺言です。
自筆しなければならないのは、本文の全文、日付、氏名で、本人による捺印も必要です。当然ですが、パソコン・スマートフォンによるものや代筆によるものは認められませんので、注意してください。また、使用する用紙については特に指定はないため、どのような紙でも大丈夫です。
メリット
- 作成に費用が掛からない。
- 遺言内容を他人に見られることがない。
- 遺言を書いていること自体を秘密にできる。
デメリット
- 遺言の実現が約束されない。(見つけられなかったり、破棄されるおそれがある)
- 法律で定める形式に従わなければ、遺言は無効になる。
- 遺族は開封時に家庭裁判所の検認が必要。
相続人に費用がかかる。 - 検認を経ないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられる。
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公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言を公証人に書き取ってもらう方法です。
公証役場にて、証人2人以上に立会ってもらいながら、本人と証人に内容の正確さを確認し、作成する遺言です。
内容に誤りがなければ、遺言者と証人がそれぞれ捺印します。さらに、これに公証人が公正証書遺言の形式に従って作成した旨を明記した上で、封紙に日付とともに記録をつけ、遺言者と証人が署名、捺印して完成します。
言葉や耳が不自由な遺言者の場合、その意思を伝える通訳などを通して遺言を作成します。病気や高齢など、身体が不自由な場合には、公証人が出張して作成することも可能です。
なお、相続人になる可能性のある人、その直系血族、及び配偶者、未成年者などは、公正証書遺言作成時の証人になることはできません。メリット
- 公証人があらかじめ確認するため、遺言が違法や無効になることがない
- 開封時に家庭裁判所の検認が不要
- 遺産分割協議が不要
- 公証役場に原本が保管されているので、正本、謄本を紛失しても再発行請求ができる
デメリット
- 公証人手数料が必要
- 遺言の内容を他人に知られてしまう
承認・立会人の欠格者について
遺言執行者は、証人になることが認められていますが、未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、及び直系血族は証人にはなれません。