Column コラム
住宅ローンは年収の何倍が目安?無理のない返済シミュレーション
住宅購入の際は、まず住宅ローンを組んでお金を借りるのが一般的です。
ただ、住宅ローンは家計に占める割合も大きく、適切なプランを組まなければ生活を圧迫してしまう恐れもあります。
それでは、住宅ローンを借りる場合、何を基準にプランを組めば無理なく返済していけるのでしょうか。
ここでは、住宅ローンの適切な借入額について、過去のデータを紐解きながら解説します。
なお本記事内で記載している建築費用は【住宅金融信用機構】2019年度 フラット35利用者調査を元にしており、ライフデザイン・カバヤの建築費用と前後している場合もございます。
ライフデザイン・カバヤではお客様のご予算に応じて理想の住まいづくりをサポートしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
住宅購入の総費用は?
住宅購入には、主に自己資金と借入額という2種目の費用がかかります。
一般的な住宅購入の支払いでは、自己資金で頭金と不動産関連の諸費用を用意し、それを契約時などに支払います。
そのうえで、自己資金だけでは支払い切れない分を住宅ローンでまかなうというのが通常です。
それでは、自己資金と借入額を合わせた、住宅購入の総費用はいくらかかるのでしょうか。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」のデータを参考に、住宅種目ごとの総費用を見てみましょう。
注文住宅
2019年度のデータを紐解くと、注文住宅の購入時にかかる費用は、自己資金で621.9万円、借入で2832.5万円となっています。
したがって、総費用は3454.4万円です。土地付き注文住宅の場合は、ここに土地の購入費用がかかるため、総費用はさらに大きくなります。
土地付き注文住宅の総費用は、自己資金443.2万円、借入が3813.7万円で、合計が4256.9万円です。
建売住宅
建売住宅は既に建設済みの住宅を土地込みで購入します。
一から自分で建てるわけではないので、注文住宅よりは総費用もやや少なめです。
同じ2019年度のデータでは、建売住宅にかかる自己資金は282.4万円、借入で3211.9万円です。総費用は3494.3万円となります。
マンション
戸建てではなく、マンション購入を検討している人もいるでしょう。
マンションはそのエリアの一等地に建設されることが多いため、戸建てより総費用が高くつく傾向にあります。
実際、同じデータを参照すると、マンション購入時には総費用で4521.1万円かかるとされています。
その内訳は、自己資金が736.2万円、借入で3784.9万円です。
中古戸建て
中古の戸建て住宅は、やはり新築の住宅より購入費用は安めです。
その総費用は2573.9万円と、土地付きの注文住宅と比べると半分近くも安いことがデータから読み取れます。
中古戸建ての自己資金と借入の内訳は、自己資金209.0万円、借入2364.9万円となっています。
中古マンション
中古マンションも、戸建てと同じように新築より総費用が少なめです。
自己資金が352.1万円、借入が2757.5万円、総費用は3109.6万円です。
自己資金の割合はどのくらい?
同じ「フラット35利用者調査」のデータを参照すると、住宅購入の総費用に占める自己資金の割合は、だいたい8~19%となっています。
ただ、この数字はフラット35という国の機関が提供する住宅ローンを組んだときの数字です。
フラット35は個人の資産や収入より、物件を重視して貸付するかどうか決める傾向にあります。
そのため、個人の資産状況が多少良くなくとも、国が定める条件に合致していれば貸付してくれるケースも珍しくありません。
一方、それ以外の金融機関から借入を行う場合、総費用に占める自己資金の割合は20%を超えることもあるので覚えておきましょう。
住宅ローン借入可能額はいくら?返済プランをシミュレーション
住宅ローンの借入額には上限金額が設定されており、それ以上の金額を借りられないようになっています。
なぜ住宅ローンに上限金額が設けられているのかといえば、無制限に貸付してしまうと返せなくなってしまう人が出てくるからです。
そういう人を出さないために設けられるのが、住宅ローン借入可能額です。
住宅ローン借入可能額は、主に借りる人の年収や返済比率などを基準に決められます。
住宅ローンの借入額は、返済できる額を踏まえて設定するのが重要です。
また、返せる額であっても、それが家計を圧迫するような金額であっては、いつか返済だけで首が回らなくなってしまう恐れもあります。
適切な借入額を設定するためには、年収や現在の家賃をベースにして返済プランをしっかりシミュレーションすることが大切です。
年収別の住宅ローンの借入可能額とは
住宅ローンを借りる際、金融機関は返済能力があるかどうかを審査します。
その審査の基準のひとつに、返済比率という指標があります。
返済比率とは、住宅ローンの年間返済額が年収の何割に当たるのかという数字です。
フラット35では、年収400万円以上の返済比率は35%以下、年収400万円未満の場合は返済比率は30%以下と設定されています。
たとえば、年収300万円の人がフラット35で住宅ローンの借入をしようとすると、その返済比率は30%以下で設定されます。
返済比率30%で計算すると、300万円×30%で年間返済額は90万円です。
月々の返済額は90万円÷12カ月で7万5000円となり、この数字が返済の上限金額となります。
つまり、年収300万円の人は月の支払いが7万5000円を超えるような金額をフラット35のローンでは借りられないということです。
試しに、年収300万円の住宅ローン借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
年収300万円で融資金利が1.310%だったとします。
返済期間が35年、毎月の返済額が5万円でボーナス払いの月だけ7万円返済するものとして借入可能額を算出します。
この場合、住宅ローン借入可能額は概算で448万円です。
一方、年収が600万円の場合はどうでしょうか。
年収600万円の場合、返済比率は35%以下です。
同じように計算すれば、返済上限は210万円、月々の返済額は17万5000円となります。
年収300万円のときと同じ金利と返済期間で、毎月の返済額が10万、ボーナス払いで14万円として計算してみましょう。
この場合の借入可能額は概算で1739万円です。
なお、住宅ローン審査については下記記事にて詳しくご紹介しています。
住宅ローンの審査基準とは?審査の流れや落ちないための注意点を解説
現在の家賃を基準にした住宅ローンの借入可能額について
一般的な住宅購入では、まず買いたい物件を探してから借入先や借入金額を設定するものです。
ただ、購入費用が高い物件の場合は、住宅ローンの借入可能額を高く設定するなどの対応をして、総費用を捻出しなければなりません。
借入可能額を高く設定すれば、その分だけ月々の返済金額は大きくなります。
その結果、月々の生活費に占めるローン返済の割合が大きくなり、生活を圧迫してしまうということが多々あります。
そうならないためにも、あらかじめ現在の家賃を基準に月々の返済額をシミュレーションしてから物件探しを始めることが重要です。
住宅ローンは20年や30年という長期にわたって毎月支払わなければならないお金です。
そのため、住宅ローンの適正な借入可能額は、遠い将来まで見通して決めなければなりませんが、
現在の家賃はそのための良い目安になってくれます。
たとえば、現在の家賃が10万円だった場合、それを基準に住宅ローンの借入可能額を計算してみましょう。
金利は1.0%とし、35年ローンを組んだとします。
この場合の住宅ローン借入可能額は3540万円となります。
この可能額を基準に物件選びをすれば、適正な価格の住宅を見つけることができるはずです。
ただし、現在住んでいる物件がマンションの場合は、
管理費や駐車場代などを家賃から差し引いた金額がローン返済に充てられる金額となります。
管理費や駐車場代が合わせて3万円だったとすれば、
その金額を家賃から差し引いたうえで借入可能額のシミュレーションをする必要があります。
また、ローン返済は長期間にわたるだけに、ライフスタイルが変化することもないとはいえません。
今のライフスタイルが変化した場合は、当然資金計画も変更を迫られます。
それだけに、将来を見通すためのライフプランを作成して、
未来にどのようなお金がかかる可能性があるのかしっかり想定しておくことが重要なのです。
返済可能な借入額を設定するためにはライフプランが重要
ライフプランとは、将来にどのような出来事が起こり得るのかを想定した人生設計図のようなものです。
たとえば、子どもの出産や進学、親の病気や介護などは、将来に起こり得る可能性の高い出来事です。
こうしたライフプランを考えずに住宅ローンを組んでしまうと、
将来思わぬ出費が重なってローンの返済が難しくなってしまうこともあり得ます。
たとえば、子どもが学費の高い私立学校に進学することになったら、
入学金などの支払いで思わぬ出費を強いられるかもしれません。
また、親が倒れて介護が必要になった場合も同様です。
介護施設に通う費用の捻出のために、住宅ローンの返済が滞ってしまうことも考えられます。
このように、住宅ローンを組んだ当初は無理なく返せる予定だった返済計画も、
不測の事態に見舞われればそれが遂行できなくなってしまうこともあるのです。
だからこそ、ライフプランを作って将来に起こり得る出来事をしっかりシミュレーションしておくことが重要です。
年収や返済比率を考えるたら、将来起こり得るイベントを一覧表などにしてライフプランを作ってみましょう。
それを基にすれば、返済可能な借入額の目安もおのずと見えてきます。
その際は、子どもが公立学校に進んだ場合と私立学校に進んだ場合、学費がどの程度変わってくるのかなど、
より具体的に想定しておくと返済計画もさらに立てやすくなります。
なお、住宅ローンを組む時期については下記記事にてご紹介しています。併せてご覧ください。
住宅ローンの借入れには年齢制限がある?住宅ローンについてわかりやすく解説
できるだけ早くローンを組むのが安心
住宅ローンの返済には、最長返済期間と完済年齢という数字があります。
たとえば、フラット35では返済期間を15~35年としています。
したがって、この場合の最長返済期間は35年です。
ただし、どのような種類の住宅ローンにも、完済年齢という規定があります。
完済年齢とは、ローン完済時の年齢のことです。
多くの金融機関では、完済年齢を80歳までと規定しており、80歳までに完済できるようにローンの返済期間が決められます。
フラット35でも、完済年齢が80歳を迎えるまでを基準として、最長返済期間が設定されます。
その基準にしたがえば、50歳の人の最長返済期間は30年です。
このように、最長返済期間と完済年齢は不可分の関係性にあります。
そのため、より柔軟な住宅ローンを組みたい場合は、なるべく早く行動することが大切です。
なぜなら、完済年齢の関係で、年齢が高い人は返済期間に制限ができてしまうからです。
35年でローンを組めれば月々の返済額も生活に見合ったものにできるのに、完済年齢の関係で30年のローンになってしまえば、
月々の返済計画にも狂いが生じてしまうでしょう。
また、住宅ローンには申込可能年齢という規定もあります。
一定の年齢を超えていると、ローン自体に申し込めなくなってしまうこともあるので、
その意味でもローンを組むのは早いに越したことはありません。
将来の円滑な返済のためにも、定年退職や健康状態なども踏まえつつ、なるべく早めにローンを組むようにしましょう。
まとめ
住宅は人生で最も高い買い物だといわれます。
実際、購入金額に占める住宅ローンの割合は、自己資金よりずっと大きく、その返済は長期にわたって続くことになります。
だからこそ、しっかりした計画性を持って行動することが何より大切です。
ただ、将来を正確に見通すことは簡単ではありません。
ライフデザイン・カバヤは注文住宅のプロとしてさまざまな疑問に答えます。
将来の計画性など、わからないことがあるならぜひライフデザイン・カバヤに相談してみましょう。
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