Column コラム
30坪の平屋の平均総額はいくら?快適に暮らせる間取りの工夫も紹介
平屋は近年若い世代にも人気が出ているスタイルのため興味があるけど、建築費用が気になる方は多いでしょう。
特に30坪の平屋は、家族3〜4人で過ごすのに快適な広さとして注目されています。
そこで今回は、30坪の平屋にかかる建築総額の平均や、快適に過ごすためのポイントを解説します。
平屋建築における問題点や、よく考えるべき注意点も合わせて紹介しています。
30坪の平屋の総額
30坪の平屋を建てる際の費用相場は、土地代と建築費用を合わせて約5,400〜6,600万円です。
内訳として、土地代は約3,000万円、建築費は2,400〜3,600万円と考えるのがよいでしょう。
ここでは、土地代と建築費用についてそれぞれを詳しく解説します。
30坪の平屋を建てるために必要な土地の広さ
30坪の平屋を建てるにあたって、まずは土地を用意する必要があります。
そして、家を建てるときには「建ぺい率」を考えることが不可欠です。
建ぺい率は、土地に対してどのくらいの面積を建物に使えるかを示した割合のことで、建築基準法によって制定されており、地域ごとに割合も異なっています。
たとえば、建ぺい率50%の場合なら、土地に対して50%分しか住宅として利用できません。
家を建てられないスペースを確保する理由としては、火災発生時に火が広がるリスクを軽減することや、車や人の通行をスムーズにすることなどが挙げられます。
そのため、30坪の平屋を建築したい場合には、30坪よりも広い土地が必要です。
例として、建ぺい率50%の土地に30坪の平屋を建築する場合の土地代を考えてみましょう。
建ぺい率50%の土地では住宅の2倍の広さが必要なため、確保すべき土地面積は60坪です。
なお、全国の平均坪単価は49万1,905円ですので、60坪に換算すると約3,000万円の土地代がかかることがわかります。
30坪の平屋にかかる建築費相場
30坪の平屋を建築するには、土地代のほかに建築費用がかかります。
建築費用は依頼する住宅会社やプランによってさまざまですが、平均すると坪単価は約80〜120万円が一般的です。
これを30坪に換算すると、建築費用は合計2,400〜3,600万円程度が相場だと言えるでしょう。
ただし、大手のメーカーが提案する住宅商品なら坪単価が相場価格を上回る可能性もあり、建築費用が4,000万円以上になるケースもあるでしょう。
一方で、坪単価を50~70万円以内に抑えて、建築費用を1,500〜2,100万円程度にできる住宅もあります。
安価に建てられる住宅は、ローコスト住宅の専門メーカーや大手会社の規格住宅プランなどで提案されている商品などがそれにあたります。
いずれにしても、相場を上回るか下回るかは、選択する住宅会社やプランによって大幅に変わる可能性があると知っておきましょう。
平屋は二階建て住宅よりも割高になる
平屋を建てる際によく比較されているのが、二階建て住宅との価格差でしょう。
実は、平屋の建築は二階建てよりも割高だといわれています。
なぜなら、平屋は1階にすべての部屋を設置するため、上下に部屋を分けられる二階建てよりも広い面積が必要なのです。
また、建築費用の中でも大きな割合を占める基礎部分や屋根などの外観部分も平屋のほうが大きいため、その分材料費や人件費がかさみます。
住宅の延べ床面積と外観部分を合わせて広い土地が必要となれば、建ぺい率を考慮して土地自体はさらに広い面積を用意しなくてはなりません。
そうなれば、土地代も二階建て住宅より高額になるでしょう。
さらに、住宅会社の提案する規格プランも二階建て以上を想定することが一般的です。
そのため、平屋の場合は材料の取り寄せなどが発生して費用が上乗せされるケースもあるでしょう。
なお、平屋と二階建ての比較について別の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
平屋は二階建て住宅よりも費用が割高?理由や安く抑えるコツを紹介
30坪の平屋はどんな間取りになる?
30坪の平屋と聞くと「狭そう」とイメージする方もいるでしょう。しかし30坪は、家族で暮らしても十分な広さを確保できます。
そこで、30坪の平屋では具体的にどのような間取りになるのかをチェックしておきましょう。
30坪は3〜4人暮らしに快適な広さ(2〜4LDK)
30坪は、家族3人で暮らすのに適しているとされていますが、間取り次第では家族4人でも十分快適に暮らせます。
3人の場合は3LDKの間取りが一般的で、一人あたりの坪数は10坪となるため、広々としたスペースの確保が可能です。
家族4人の場合は一人あたりの坪数が7.5坪となります。間取りは3LDKであれば余裕のある広々とした空間作りが可能となり、4LDKにしても十分快適に暮らせる間取りが実現します。
ただし、家族が5人に増えると部屋数を工夫する必要が出てくるでしょう。
30坪を5人で分け合う場合には、一人あたりの坪数が6坪とだいぶ限られてしまうため、家族全員の個室を確保するのは難しいケースも考えられます。
また、ライフスタイルの変化に合わせて、家族3〜4人であってもリモートワーク用の作業部屋や子どもの自宅学習用スペースなどが別途必要になる場合があるでしょう。
そのため、段階的に間取りを変更したい場合には、最初は2LDKなどにしておき、生活環境に合わせて仕切壁などを設置し調整できるようにするのがおすすめです。
なお、間取りを決める際の注意点について、別の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
注文住宅の間取りを決める際の失敗しないポイント!
平屋で快適な暮らしを手に入れるポイント
最後に、30坪の平屋でのびのびと暮らすために確認すべきポイントを4つ紹介します。
いずれも設計時によく考慮しておけば、その後の暮らしで多くのメリットがあります。
窓の位置を工夫する
まずは、「窓」の配置について考えます。
平屋で暮らす際に気になるのが、日当たりや風通しの悪さです。
周囲に高い住宅や建物があると、日当たりが悪くなってしまい洗濯物が乾かないなどのトラブルが発生するかもしれません。
また、プライバシーを気にしすぎて窓の設置を減らすと、風通しも悪くなってしまいます。
そこで、窓の配置を工夫することが、トラブル防止にも快適な暮らしの実現にも不可欠です。
たとえば、平屋建築でよく取り入れられるアイディアとして、天井など高い位置に窓を設置する方法があります。
高い部分にある窓なら、周辺住宅と窓が重ならずプライバシーの確保につながり、南北を気にせずとも日光を屋内に届けることが可能です。
さらに、高い位置の窓と低い位置の窓を混在させることで、空気の流れも生まれて、より快適に過ごせます。
ただし、季節によっては窓の配置が原因で、光が入りすぎるケースもあるでしょう。
そんなときは、遮光効果のあるフィルムを活用したり、グリーンカーテンを設置したりして対策するのがおすすめです。
暮らしやすい住宅のためにも、窓の配置は積極的に工夫しましょう。
スキップフロアやロフトを活用する
次に、室内に段差を作って空間を有効活用することです。
スキップフロアやロフトをイメージするとわかりやすいでしょう。
スキップフロアとは、住宅の高さはそのままに、数段の階段を設置することで中2階や中3階を作り出すものです。
そのため、坪数の少ない住宅や平屋には最適と言えます。
たとえば、部屋数が足りず収納スペースを確保するのが難しいときや、ちょっとした作業スペースがほしいときなどに利用できます。
また、スキップフロアなら「平屋だけど二階建てや三階建ての雰囲気も味わいたい」と考える家庭のニーズにも応えられます。
きちんと仕切りやはしごを設置して、部屋として区分けしたい場合にはロフトの活用もよいでしょう。
ただし、ロフトは高さ制限があったり、ある程度の段差を上り下りする必要があったりするため、ただの物置きや日常的に使わない空間になってしまうようならおすすめはできません。
平屋の開放感を保ったまま空間を有効活用するには、スキップフロアのほうが適しているでしょう。
プライバシーや防犯に気をつける
外からの視線や侵入を防ぐための対策も必要です。
平屋は二階建てよりも開放感があることが魅力的な一方で、住宅内外のプライバシーを確保するのが難しい点が課題でもあります。
そこで、プライバシーを守るための対策として、家族の個室にはドアを設置したり、サンルームや中庭を作ったりすると効果的です。
サンルームとはガラス張りの部屋のことで、日光や風を十分に確保できる空間をいいます。
サンルームがあればひと目を気にせず洗濯物を干したり、テラスのように過ごせたりと、プライバシーの確保と利便性を兼ね備えた住宅にできるのです。
もし設置位置が近隣住宅から見えて気になるのであれば、植物などを置いて目隠しすれば外からの視線も感じにくくなるでしょう。
中庭や坪庭も、採光や風通しの良さに加えて、周囲を気にせず外で過ごせるため、平屋ではよく活用されています。
また、平屋は外から見て出入り口や勝手口が把握しやすい構造のため、「玄関」や「窓」を中心にしっかりと防犯対策を施しましょう。
防犯対策としては、窓に防犯ガラスを取り入れることや、カメラやセンサーライトなどの設置が望ましいでしょう。
防犯やプライバシーの確保面では、二階建て住宅よりも初期費用がかかりますが、安全で快適な環境を保つためには、これらの対策を導入するのがおすすめです。
風通しの良さを考慮する
最後に、考慮したいのが風通しです。
30坪の平屋で部屋数を増やすと、風通しが悪くなってしまいます。
特に、寝室や子ども部屋、収納スペースを多く確保しすぎてしまうと、空気の流れを作れず、室内の換気がままなりません。
そのため、各部屋の広さと風通しを考えたうえで設計することが重要です。
個室一人分の広さは4畳以上(約6.6㎡)で、二人分の部屋なら7.5畳以上(約12.4㎡)が目安だとされています。
ただし、各部屋の配置によっては風の導線が仕切りやドアで止められてしまい、広々と空気を循環させる場所が取れないかもしれません。
そのため、風通しを邪魔しない間取りにする工夫が必要です。
また、窓の配置でもお伝えしたとおり、高低差をつけて窓を設置すれば、空気の流れも生み出せます。
「窓」「部屋」「収納スペース」の配置には特に気を配って、快適さを保てる間取りにしましょう。
なお、平屋での暮らし方について別の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
<HIRAYA style>平屋の暮らしかた
30坪の平屋はシンプルな導線がポイント
30坪の平屋は、土地代で約3,000万円、建築費で2,400〜3,600万円程度が費用相場です。
そして、二階建てよりも広い土地が必要なことや、プライバシー・防犯面で工夫が必要な点が平屋を検討するときに気になるポイントです。
しかし、平屋は少ない坪数でも家族4人で暮らしても快適に過ごせて、中2階など空間を有効活用できる点が二階建てにはない魅力でもあります。
防犯対策をしつつ、開放感を生かしてのびのびと過ごすためにも、平屋建築では間取りを工夫することが大切です。
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