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バリアフリー住宅の理想の玄関は?実例をもとに快適な住まいを作るポイントを解説
子どもが生まれて家族が増えたり、親の介護が必要になったりしたときに備えて、玄関をバリアフリーにしたい方も多いでしょう。
実は、バリアフリーな玄関を実現するには、意識すべきポイントがあるのです。
本記事では、玄関をバリアフリーにするための設計ポイントについて、詳しく解説しています。実際の施工事例も紹介しますので、理想の玄関をつくるためのアイデアを集めましょう。
バリアフリー住宅とは
一般的にバリアフリー住宅とは、高齢の方や障がいのある方が少しでも心地よく過ごせるよう配慮して建てられた住宅を指します。
心地よく過ごせる住宅を実現するにあたっては、以下のポイントが挙げられるでしょう。
・物理的な負担を軽減する
・社会的・制度的な不公平さを軽減する
・心理的な不安やトラブルを軽減する
そして、バリアフリー対策に関する決まりや住宅の仕様などは、いくつかの法律によって定められています。たとえば「段差の軽減」「手すりの設置」「通路幅の確保」「滑らない床材への変更」などです。
しかしながら近年は、バリアフリー住宅が高齢者や障がい者の方だけに向けたものではなくなっています。住宅設計次第でリスクを抱える人々は、乳幼児や子育て中の親、妊婦なども当てはまり、その対象は決して少なくありません。住宅に住むすべての人にとって、バリアフリー住宅は必要だという考え方も存在しています。
そのため、障壁やストレスとなるものを少しでも減らし、快適に過ごせるように設計した住宅はいずれもバリアフリー住宅と呼べるのかもしれません。
快適なバリアフリー住宅を建てるための3つのポイント
バリアフリー住宅を実現する際には、具体的にどのような部分に気をつけたらよいかを解説します。
段差をなくす
まずは、住宅内の段差をなくすことを意識します。
体を思うように動かせない方にとって、室内の段差を上り下りするのはリスクが高く、難しいことです。たった1段、たった数センチメートルの段差でも、つまずいて転んでしまう可能性があります。車いすの場合なら、自力で上がるのはなおさら難しいでしょう。
そこで、段差を減らすために床の高さを調整したり、段差部分を埋められるようなクッション性のある専用材を設置したりして対処します。やむを得ず段差を設置する部分には、視認性を高めるために段差に色を塗ったり、センサーライトを設置したりするのも有効です。
段差をなくすことで、家族を見守る介助者にも安心感を与えられます。
温度差を少なくする
次に、室内の温度差に気をつけることです。同じ建物の中でも、場所によって温度差があります。
特に、夏や冬はエアコンの使用や昼夜での寒暖差が影響し、ヒートショックによる事故も起こりやすいでしょう。また、住宅自体にも結露によるカビが発生したり、ダニなどの害虫から健康被害が生まれたりと、さまざまな弊害の併発も懸念されます。
そのため、温度差を最小限に抑える工夫が必要です。部屋の気密性や断熱性を高めて、体への負担を軽減します。部屋同士や廊下との温度差が大きくならないよう配慮することで、住宅自体の品質も保ちやすくなるでしょう。
転倒を防止する
そして最後に、転倒防止対策です。
段差を解消することも転倒防止にもちろん効果がありますが、それだけでは不十分です。段差の軽減に加えて、手すりやスロープ、足元が見えるライトの設置も検討しましょう。特に、上り下りや立ち座りが発生しやすい玄関や浴室、トイレなどへの対策がおすすめです。
浴室やトイレは「座る」「立つ」が必要となるため、手すりを設置するのは大切です。また、室内を移動する際に通る廊下にも手すりをつけると、さらに安心です。
バリアフリー住宅の理想の玄関を作るバリアフリーにする際のポイント
では、バリアフリー住宅のポイントを踏まえて、理想の玄関を作るために必要なことをチェックしましょう。
スロープを作る
玄関は、家の外と中の両方でバリアフリー対策が必要な場所です。特に、玄関に入るまでのアプローチ部分で段差があると、高齢者や車いすの方はもちろん、重たい荷物を持って入る人にとっても危険があります。
そのため、玄関先にはスロープを設置し、ゆるやかな坂道にしましょう。必要に応じて、玄関から室内に上がる部分でもスロープを取り入れると、より安心できるでしょう。
ただし玄関スロープを設置するには、ある程度余裕のあるスペースが必要です。住宅を建築してからでは設置するのが難しい場合もあるため、設計時点で導入するかを決めるようにしましょう。
また、現時点では車いすの介護が発生していなかったとしても、将来的に必要となるかもしれません。長期的な視点で、スロープが必要かどうかをよく話し合うことも大切です。
手すりや補助ベンチを設置する
スロープと合わせて、手すりや補助ベンチも設置しましょう。
手すりは、スロープ部分だけでなく、靴を着脱する場所やその先の廊下にもつながるように設置しすると便利です。すでに手すりを必要とする家族がいる場合は、その人の身長や姿勢、利き腕に合うよう設計するとストレスを軽減できるでしょう。
また、介助者がいなくても自分で靴を脱いだり履いたりできるよう、ベンチを設置しておくことも必要です。手すりと同様に、ベンチの高さも家族の状態に合わせて調整しておきます。
まだ手すりが必要か判断できない場合は、将来的に設置できるように適した床材を選んでおくと安心です。たとえば、滑りにくく、車いすや杖を使っても傷つきにくい素材なら、スムーズにリフォームに取りかかれます。
玄関ドアは引き戸にする
玄関ドアを引き戸タイプにすることでも、バリアフリーになります。引き戸タイプの玄関は左右に動かすだけで開閉できるため、体が不自由な状態でもスムーズな出入りが可能です。
一般的な開き戸タイプだとドアを押さえながら出入りする必要があり、片手が使えなくなったり、別途ドアストッパーを設置したりと手間もかかります。また、ドアノブの設置も必要です。
一方引き戸タイプであれば、手がふさがっている状態でも開閉しやすく、開いている間に勝手にドアが閉まる心配もありません。
ただし、レール部分の動きをスムーズにしすぎるとドアを閉めるスピードが速くなり、指や物が挟まれる可能性もあります。そのため、ゆっくりとした動きで開閉できるよう、速くも調節しておきましょう。
バリアフリー住宅の玄関の施工事例
最後に、実際の施工事例を3つ紹介します。
それぞれのバリアフリー住宅を参考に、詳細なイメージを膨らませてみましょう。
お互い気兼ねなく暮らせる「完全分離型の二世帯住宅」
こちらの邸宅は、完全分離型の二世帯住宅です。二世帯での暮らしで発生する障壁を緩和できるよう、玄関を別々にしました。
親世帯のスペースは間取りも工夫されており、玄関横に寝室を設置したり、トイレも広々とさせたりと、家族の状態に合わせた設計です。
二世帯がお互いに心地よく暮らすために、玄関を中心にプライバシーが確保されています。
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2階LDKの伸びやかな開放感 気兼ねなく暮らせる完全分離型の二世帯住宅
商店だった名残を残しつつも健康に配慮した優しい住まい
長屋スタイルの商店をリノベーションしたこちらの邸宅では、快適性を向上させるためにさまざまなバリアフリー対策を取り入れています。
歴史のある長屋では、壁の薄さや段差、室内の温度差といった弊害が生じていたそうです。そこで、壁面や開口部の断熱性を高めたり、玄関の段差を腰掛けに利用したり、浴室に暖房乾燥機や手すりを設置したりと、住宅全体で改善を図り、優しい環境にアップデートしました。
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訪れる人に配慮した安全な玄関を実現した住まい
こちらは、自宅内で整骨院を営んでおり、家族にとっても訪れる人にとっても安全な環境を提供できるようリノベーションしました。
玄関部分は以前の趣を残しつつ、断熱性や採光性を高めて明るい空間に変えています。また玄関やトイレなど座ったり、立ったりすることの多い場所には、新たに手すりを設置してバリアフリー化も実現しました。
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バリアフリー住宅を建てるならライフデザイン・カバヤにご相談下さい
バリアフリー住宅を実現するには、現時点で家族が抱えるトラブルだけでなく、遠い将来のことまで考えて設計することが重要です。
特に玄関は、バリアフリー対策をおこなう部分が多く、室内の間取りにも大きな影響を与えます。そのため、早い段階からバリアフリーを見越した設計をしておくのが得策です。
ライフデザイン・カバヤでは、バリアフリーを意識した住宅も数多く手掛けています。当社では、人にやさしい「木」を活用した住宅設計を得意としており、バリアフリーとの相性もぴったりです。
気になる疑問には何でもお応えしますので、まずはお気軽にご相談ください。