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WELLNESS RESEARCH|夜のリビングは柔らかな明るさに。

2023.04.01

日本人の睡眠時間は先進国の中でワーストクラス。夜眠る時刻が遅い割に朝は早い。だから睡眠時間が短くなるのです。無理なく早寝ができる工夫はあるのでしょうか。早寝ができれば、睡眠時間の確保につながるはずです。

元来、人には夜になったら眠りの準備が整う仕組みが備わっています。体内の温度は 宵の口ぐらいが最高になり、下がり始めて1~2時間たつと眠気が訪れてきます。一方、眠りを誘発するホルモンのメラトニンは夜間にかけて作り出され、眠気を強める働きがあります。早寝するコツの一つは寝床に入る前から心と体をリラックスモードに導き、自然の仕組みを妨げないことです。

日本の住宅で気になるのが夜の光。部屋の中心に大きな照明器具を据えて、手元まで明るくしているのを見かけます。朝の光は目覚めをすっきりさせ、昼間の光は昼夜のメリハリを高めます。一方、夜に強い光を浴びると、交感神経系の活動が高まって寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりする恐れがあります。日本人の宵っ張りの理由の一つは、明る過ぎるダイニングルーム、リビングルームにあるのかもしれません。

夕食を済ませた後は、少し照度を落とし、柔らかな明るさの中でゆったりくつろいで過ごしましょう。部屋全体を照らすのではなく、光の広がりを狭めて照らすのがポイント。照明器具を少し低めの位置に設置したり、間接照明をうまく活用したりするとくつろぎやすい光環境になります。くつろぎには光の照度だけでなく、光の波長も影響します。夜はオレンジ系の電球色の方が生理的にも心理的にもリラックスします。青白い LEDの光は赤色の暖色系の光に比べて眠りを誘発するメラトニンの分泌が少なくなるとされます。

就寝1時間ほど前からはさらに明るさを控えるとよいでしょう。調光にスタンドライトなどを組み合わせると、陰影のあるしっとりとした暗さを演出できます。

睡眠中は天井の照明を消すのが基本。暗闇に不安を感じる場合は、足元を弱い光で照らすなど、睡眠中に光源が直接目に入らないようにしましょう。

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