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バリアフリー住宅のメリットとは?事例とともに間取りのポイントをご紹介
バリアフリーを意識して住宅を建てる人が近年増えています。家族の介護に備えるためだけでなく、自分が老後になったときや子どもへ家を引き継いだときなども想定して、バリアフリー住宅にするケースが多いためです。
しかし、バリアフリー住宅はどのような設計や間取りにすべきかについて、悩まれる方もいるかもしれません。そこで本記事では、バリアフリー住宅のメリットや間取りのポイント・施工事例をわかりやすく紹介します。
注文住宅におけるバリアフリー住宅とは
バリアフリー住宅は、小さな子どもから高齢者まで、広い世代の人でも暮らしやすく感じられるように設計した住宅をいいます。そもそもバリアフリーとは、障壁となるものを取り除いて生活しやすいように環境を整えることです。
バリアフリーを考慮しない住宅で介護や育児を始めると、住宅内のあちこちで転倒リスクが発生し、安全で快適な暮らしができなくなるかもしれません。注文住宅でバリアフリーを実現するには、段差の軽減や水回り設備の配置を調整するほか、車椅子での移動を想定した動線を設計するなどの工夫が必要です。
バリアフリー住宅のメリット
バリアフリー住宅が注目されている背景として、高齢化の加速が挙げられるでしょう。今後はますます高齢者が増え、国内人口の約25%が高齢者になると予想されています。
そのため、将来に備えてバリアフリー住宅を建てる人が増えている状況です。そのような環境下であることも踏まえて、バリアフリー住宅のメリットをチェックしておきましょう。
高齢者が無理なく生活できる
まずは、高齢者に寄り添った生活を実現できる点です。
年齢を重ねると体力・筋力も低下し、ちょっとした段差でつまずいたり、転んだりしてしまいます。特に自宅内の浴室やトイレ・階段・キッチンなど日常生活での転倒事故が多いため、住宅環境を変えるだけでも、高齢者の命を守ることにつながります。
バリアフリーを意識した住宅を建てると、段差の上り下りや移動による転倒リスクを大幅に軽減できるでしょう。
体が不自由な方でもスムーズな移動が可能
病気やケガ、障がいなどによって体が不自由になった方にとっても、バリアフリー住宅はメリットが多くあります。車椅子や松葉杖などで室内を移動するのは大変ですし、階段の上り下りや「座る」「立つ」などの小さな動作ひとつをとっても、思うように体を動かせない人にとっては危険なことです。
しかし、段差が少なく、スムーズな動線で間取りを組んだ住宅であれば、家族の補助がなくても自分で自由に移動できますし、日常生活におけるストレスも軽減できます。物理的な負担が減るのはもちろんのこと、精神面でのストレスも解消できるのは、バリアフリー住宅ならではの魅力です。
子どもや妊婦さんも安心して生活できる
バリアフリー住宅は、小さな子どもや妊婦さんにとっても暮らしやすい住宅スタイルです。
まだ子どもが小さい家庭では、住宅内のあらゆる場所に事故や転倒のリスクがあります。バリアフリー住宅で階段に手すりをつけたり、床に滑り止めを敷いたりすることで、子どものケガも未然に防げるでしょう。
また妊婦さんにとっても、足元の見えにくさや歩きづらさを考慮したバリアフリー住宅は、赤ちゃんを気遣いながらも安心して生活ができる環境づくりに役立ちます。
バリアフリー住宅でのおすすめ間取りポイント
では、バリアフリー住宅を建築するうえで、具体的にはどのような点に気をつければよいでしょうか。
ここからは、間取りのおすすめポイントを紹介します。
寝室の近くにトイレなどの水廻りを広めに配置する
高齢になると夜間にトイレに行く回数が増えるため、部屋の移動によって転倒する可能性が高まります。そこで、寝室の近くにトイレを設置し、室内には足元が見えるよう自動点灯ライトを備え付けたり、車椅子の出入りがしやすいよう個室を広めに設計するのがおすすめです。
また、日中と夜間で寒暖差がある夏や冬などは、温度差によるヒートショックも懸念されます。そこで、トイレだけでなく浴室や洗面所も寝室のそばにしておくと安心です。
浴室は転倒を考えて、やわらかく滑りにくい素材の床材を使い、介護者がケアをしやすいよう広めのバスタブや手すりの設置などが望ましいでしょう。洗面台は、車椅子の人が利用しやすいよう、あえて低めに設計しておくのもおすすめです。
リビングには段差をなくし、廊下も広めに設計する
家族が集まるリビングは、全員が過ごしやすい空間になるよう工夫します。
たとえば、段差をなくしてフラットにしたり、高さ調整が可能なテーブルを設置して車椅子にも対応できるようにするのがよいでしょう。テーブルの調整が難しい場合は、畳の座敷を小上がりのように作り、直接座れるようにする方法もあります。小上がりなら、テーブルも小上がりの高さに合わせたものを最初から選べるため、調整が不要です。小さな子どもがいる家庭なら、畳の座敷は子どもの遊び場所としても安心です。
廊下は、車椅子が通行できる幅を取り、足元の照明や手すりの設置もおこないましょう。床材も滑りにくいものを選んでおくと、転倒リスクを軽減できます。
道路から玄関までの動線は、手すりやスロープで安心設計
住宅の内側だけでなく、外から玄関に入るまでの動線にも気をつけましょう。玄関には段差をつける家庭も多いですが、体が思うように動かない方にとっては危険の多いポイントです。
そのため、可能であれば住宅の敷地内に入る部分から玄関前にかけて、手すりやスロープ・照明を設置しておくとよいでしょう。ただし、スロープを設置するにはある程度の広さが必要なため、十分なスペースを確保しておきます。悪天候時に備えて屋根を設置するのもおすすめです。
玄関扉は引き戸タイプにして、車椅子でも出入りしやすくしましょう。玄関と室内の堺にある上がり框(かまち)も高さをつけすぎず、11cm程度を目安に抑えておきます。靴の脱着をラクにできるようベンチを設置しておくのも便利です。
将来を見据えて配慮したバリアフリー住宅の間取りと施工事例
最後に、バリアフリー住宅の施工事例を3つ紹介します。先ほど解説した間取りのポイントが活かされているとわかるでしょう。
広い玄関と洗面室の設計で将来も安心な住まい
自然災害を乗りこえ、ようやく再建が実現したこちらの邸宅では、家族の暮らし心地をとことん追求し、広い玄関や洗面所を設計しています。
玄関には座って靴を脱着できる広いベンチスペースを設置し、外出時や帰宅時のストレスを減らしています。また洗面室は、浴室・洗面台・ランドリースペースを一カ所にまとめることで、生活動線もシンプルになりました。
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手すりなどのバリアフリー性も確保し、旧家の面影を残した住まい
築70年の自宅を建て替えたこちらの邸宅は、旧家の雰囲気も感じられるあたたかみのある住宅に生まれ変わりました。
高齢の家族に合わせて廊下には手すりを設置し、扉は引き戸を採用しています。特にトイレの前は、明るい日光が入るよう床まで窓が設置され、足元の視界も良好です。個室は余裕を持った広さで設計され、出入り口には手すりも設置されています。
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トイレや玄関のスペースを確保し、将来を見据えた和モダンな住まい
洗練された内装で統一されているこちらの邸宅も、バリアフリーな住宅です。
玄関には引き扉を設置し、玄関ホールも広々とした設計で将来車椅子になってもラクに出入りできます。トイレの個室内にある洗面所つきの長いカウンターは、手すりとしても代用が可能です。
家族の将来を見据えて、過ごしやすさを追求した施工事例のひとつと言えるでしょう。
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誰でも快適に過ごせるバリアフリー住宅ならライフデザイン・カバヤにご相談下さい
バリアフリー住宅は、家族の介護に備えてはもちろん、老後や3世代で生活することも想定して、さまざまな角度から間取りを考えるのが重要です。現状は気にならない部分でも、体がうまく動かせない状態になれば、とたんに生活しにくくなります。
家族の環境が変わっても快適な暮らしを継続できるよう、間取りはしっかりと相談しながら決めていきましょう。
ライフデザイン・カバヤは、バリアフリー住宅の設計も手掛けています。特に、人に優しい「木」の風合いを生かした住宅設計を得意としており、注文住宅ではお客様より高い評価をいただいております。
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