正面から見ると、特に変わったところのないように見えるM邸。少し窓が少く思えるのは、明るさよりも道路側からの視線を考えたプライバシー対策だろうか。そう思いながら、少し横に回りこんでみると建物の形が変化していった。実はM邸は、建物がコの字型になっており、玄関の後ろ側にセンターコートが隠されていたのだ。

玄関から中に入ると正面が大きなFIX窓になっており、明るいセンターコートにまっすぐ視線が抜ける。なんとも開放的で気持ちがいい。いわゆるコの字型の3面は、この玄関のほかにリビングとダイニングがそれぞれ面しており、ここから家の隅々に光と風が運ばれていた。M邸は、開放感とプライバシーのバランスがうまく取れた都市型住宅のお手本のような家だった。