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Cross Laminated Timber 未来をつくる新建材 CLT

CLTとは

CLT(Cross Laminated Timber)とは、ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料で、日本では「直交集成板」と呼ばれます。 木材は水分を吸収したり放出したりすることで収縮しますが、縦方向にはほとんど変化がありません。木材を直角に積層し接着しているため、収縮変形を抑えられ寸法が安定し、強度が高くなる建材です。

CLTの構造①

直交に重ね合わせることで高い強度を実現。

木材を積層させた建築資材は、エンジニアリングウッドとも呼ばれる集成材や、単板を積層接着したLVLがあります。 集成材やLVLは繊維を同一方向へ揃えているのに対し、CLTは挽き板を直交に重ね合わせる点が異なります。 このように、各層が互い違いに積層されることで、複数方向に対して高い強度を持つことができ、建築物の耐震性向上にも寄与します。

CLTの工程
欧米では10階を超えるCLT高層ビル建築が存在する

世界が認める建材CLT

近代工業化以後現代まで、高層ビルを建てる際には、
鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建設されるのが一般的でしたが、
新しい木造建築材として注目されているのが「CLT」です。

CLTのあゆみ

CLTのアイデアは、1990年代にドイツで誕生したと考えられており、1995年頃に、オーストリアで製品として完成しました。 日本で本格的に生産・普及が始まったのは、2013年12月にJAS(日本農林規格)が制定され、2016年4月にCLT木材に関する建築基準法告示が施行されてからのことで、日本で本格的な生産・普及が始まるまで20年近くかかっています。長い歴史の中で木材を積極的に活用してきた日本において今後、普及する余地は大きいと言えるかもしれません。

  • 欧米では10階を超えるCLT高層ビル建築が存在する。

    欧米で中高層建築の利用拡大

    欧米で中高層建築の利用拡大

    CLTは1995年頃からオーストリアを中心として発展し、イギリスやスイス、イタリアなどヨーロッパ各国で様々な建築物に利用されています。 また、カナダやアメリカ、オーストラリアでは、CLTを使った高層建築が建てられるなど、各国で急速な伸びを見せています。 とくに、中層建築物の共同住宅、高齢者福祉施設の居住部分、ホテルの客室などに用いられています。

  • 木造建築の主流へ

    木造建築の主流へ

    近年欧米では、低層建築は鉄筋コンクリート造、中高層建築はCLTを活用した木造建築が主流になりつつあります。 その理由としては、軽量で地震に強いことや、鉄筋コンクリート造と比べて工期が短いことが挙げられます。 また、欧米で木材利用を推進する理由の一つに林業の振興があります。カナダやオーストリアは森林大国で、国や州政府がそのための支援も行っています。

次世代の建築物はいま、木造でつくられている。

次世代の建築物はいま、木造でつくられている。

今、木造建築が見直されています。
その理由は、CLT建築により木造建築の耐久性・耐震性能が大幅に向上したことにあります。
高い耐震性が求められる高層ビルや、意匠性が求められる店舗・商業施設で広く採用されています。

日本でも広がるCLT建築

行政からもバックアップされるCLT

CLTは、日本でこれまで木材があまり使われてこなかった中大規模の建築物などに用いることにより、木材の新たな需要や新しい産業分野の創出が期待されるものとして、地方創生の一方策としても大きな期待が寄せられています。このため、CLTの幅広く積極的な活用に向け、「CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議」を設置し、国を挙げて取り組んでいます。

住宅にとどまらないCLT建築の普及

  • 国立競技場 (日本/東京都新宿区)の詳細画像

    国立競技場(日本/東京都新宿区)

    選手更衣室内のロッカー、休憩スペースのベンチや屋外エレベーターの外壁等には、強度の強い国産材のCLTを用いています。 内部にも木の質感が感じられる仕上げを施し、観客を温かみのある空 間で包み込みます。

  • GREENable HIRUZEN(日本/岡山県真庭市)の詳細画像

    GREENable HIRUZEN(日本/岡山県真庭市)

    サステナブルの価値をより多くの人に知ってもらうための発信拠点施設「GREENable HIRUZEN(グリーナブルヒルゼン)」。 この施設は建築家の隈研吾氏が設計監修した施設で、東京・晴海で一度活用された木材の建物を移築したものです。