消防庁の発表によると令和5年中の出火件数は3万8,672件でした。建物火災は2万974件で、住宅火災は1万2,112件も占めています。万が一、木造住宅が火事になった場合、「木は燃えやすいのでは?」と不安に感じる人もいるかもしれません。けれども、現在の木造住宅は進化し、耐火性能を備えている住まいも多くあります。この記事では火事の際も安心できる木造住宅について紹介します。

火災が起きる原因と、その対策とは?

燃え移りにくい家とは? 木造住宅のわが家を守る火災対策を知る!

住宅火災の原因は?

消防庁の発表によると、住宅火災の出火原因別の内訳として、「こんろ」2,769件、「たばこ」1,925件、「電気機器」1,688件、「配線機器」1,310件などがあります。こんろの火の消し忘れや、電気機器・配線機器の発火などは、日常で起こり得る原因といえ、誰もが火災に見舞われる可能性があることを忘れてはいけません。あと怖いのは、たとえ自宅が出火元でなくとも、もらい火によって大きな被害を受ける可能性もあります。万一の際に備えて、日頃から住まいの十分な火災対策が重要です。

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住宅火災のために事前にできる対策とは?

万が一、住宅火災が起きたとしても、被害を最小限に抑えるための対策をいくつかご紹介します。火災対策を行うことで被害を最小限に食い止め、近隣住戸への延焼を防げます。また、火災保険にもしっかり加入することもおすすめします。

隣戸の間に開口部(窓)を設けない

火災が起きた時に、隣接住戸間で延焼しないために、開口部(窓)の対策は重要です。まずは「戸境(隣接する住戸との間)には開口部(窓)を設けない」ことをおすすめします。開口部(窓)を設ける場合も、「開口部の位置をずらす」「窓には網入りガラスを入れる」「内装工事の際、小屋裏(屋根と天井の間の空間)から戸境壁(隣接する住戸との間の壁)まで、不燃ボードを入れる」などの対策を行いましょう。

火災に強い構造を考える

住まいの構造自体を火災に強い仕様にすることも重要です。その場合、以下の対策をぜひ検討してください。

  • 柱、梁等の構造材や壁などの下地材を、石膏ボードなどの燃えない材料で覆う
  • 柱、梁、壁下地材などに太い木材や厚い木材を使う
  • 防火力のあるドアや襖を用いて、部屋ごとに、防火に配慮した区画をつくる

住宅用火災警報器の設置する

2006年、改正消防法の施工によって「住宅用火災警報器」の設置が義務付けられました。煙や熱を感知してブザーが鳴ることで、火災をいち早く察知して消火活動を行え、迅速に避難することができます。注意したいのは、火災警報器の更新時期は10年です。気づかないうちに電池切れになっている可能性があるのでぜひ覚えておいてください。

住宅用消火器を設置する

自宅内に消火器を設置することは非常に重要です。消器はマンションやアパートの共用スペースによく設置されていますが、自宅の中にも設置するよう心がけてください。いざという時のために、消火器の使い方もしっかり頭に入れておきましょう。

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木造住宅が火災に強い理由

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厚みのある木の構造材は火に強い

木が燃えて表面が黒く焦げた部分を「炭化層」と言います。「炭化層」ができると内部への熱を遮断し酸素供給も阻止します。芯まで燃えつきるまでの時間が長く、建物が火災により倒壊するまでの時間はきわめて長くなります。火災時における木材の炭化速度は、1分間に0.6mm程度なので、15分間火にさらされても9mm程度しか炭化しません。一般的な木造住宅で使われる柱や梁は10センチ以上の厚みがあり、30分間火にさらされても、表面から2センチ弱は焦げますが、内側のほとんどの部分は残ります。

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出典:一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会

木は温度が上がっても変形しにくい

鉄は250℃になると変形し始め、5分も経たないうちに元の強さの半分になってしまいます。けれども、木は温度が上がっても変形しにくい素材です。木材が元の強さの半分になるのは20分もかかります。現在の木造住宅では火事になっても、躯体である木材の内部まで燃つきず、家が突然焼け崩れてしまうことは少なく、避難する時間を確保できます。より安全な木の家にするには、燃えにくくなる処理を行う、燃えにくいもので覆う火元の近くに木をむき出しにしないなどの工夫が大切です。

「防火」と「耐火」はどう違う?

「耐火構造」「準耐火構造」「防火構造」がある

万一の火災時にも被害を抑えるよう、建物の構造や用いるべき材料などが法律によって決められています。人が大勢集まる施設や、階数が高く延床面積が大きな建物、建設地が防火地域・準防火地域の場合は、かなりの割合で「耐火構造」、「準耐火構造」のどちらかで建てなければなりません。共同住宅や商業地域にある住宅などには、「耐火構造」、「準耐火構造」、「防火構造」といった基準が設けられています。階数や延床面積、用途のほか、建設地が防火地域か準防火地域であるかで区分が決まり、家づくりの際の建築費用や火災保険料にも関係します。

「耐火構造」とは

最もレベルの高い「耐火構造」とは、壁や床に、火災が終了するまでの間、建築物の倒壊、および延焼を防止するために必要な性能を備えた構造のことを言います。階数や構造部分の種類で異なりますが、最長3時間の火災に耐える高い性能が求められます。主要構造となる壁・柱・床・梁(はり)・屋根・階段は国土交通大臣の認定を受けた仕様でなければなりません。不燃材料を使用した、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造の両面を耐火被覆した構造、コンクリートブロック造などが主な構造となります。近年の技術の進歩により、木造でも「耐火構造」への適合が可能になりました。

 

「準耐火構造」とは

「準耐火構造」は「通常の火災による延焼を抑制するために必要な構造」です。階数が低く、延床面積が小さめの建物に該当する基準で、構造部分により異なりますが、最長1時間、火災で部材の強度が弱まり建物が崩壊し、あるいはほかに火災が広がらないことが要件となります。「耐火構造」と同じく、主要構造となる壁・柱・床・梁・屋根・階段は、国土交通大臣の認定を受けた仕様となります。不燃材料である石膏ボードなどの素材を使った構造とする点も同様です。

「防火構造」とは

「耐火構造」、「準耐火構造」の対象外となる防火地域・準防火地域で小規模な住宅を建てる場合に求められるのが「防火構造」です。近隣で発生した火災の延焼に巻き込まれないため、外壁と軒裏に防火性のある材料を使用し、30分間の加熱でも支障のある変形や破壊を生じることがなく、またその裏面が出火に至る危険温度とならないことが要件となります。木造住宅の「防火構造」として、外壁の屋外側を鉄網モルタル塗りとし、屋内側を石膏ボード張りとする方法などがあります。

「省令準耐火構造」の木造住宅

る基準を満たす構造で、建築基準法の準耐火構造と同等の耐火性能を有する構造です。一般の木造住宅より耐火性能が高く、火災に対して安全性の高い住宅となります。ライフデザイン・カバヤの「CLTハイブリッド構法」はCLTHBパネルに石膏ボードによる耐火被覆を施すことで「省令準耐火構造」の認証を取得。「外部からのもらい火に対して30分耐火」「室内で起きた火災が構造体に燃え移るまで15分耐火」など厳しい基準をクリアしています。また、火災に強い「省令準耐火構造の建物」の住宅は火災保険料が安くなるというメリットもあります。

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まとめ

今回は「木造住宅の火災対策」について詳しく解説しました。住宅火災の原因と火災対策や、木材は火に強く変形しにくいこと、さらに建築基準法に基づく「耐火構造」「準耐火構造」「防火構造」があり、住宅金融支援機構が定める「省令準耐火構造」があることを解説しました。「省令準耐火構造」の認定を受けるライフデザイン・カバヤの「CLTハイブリッド構法」は、万一の火災の際にも安心感が高まります。家族の暮らしと命を守るために、火災に強い住まいを考え、日頃から火災対策を行うことが大切です。

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