地震の強さを示す「耐震等級」をご存知でしょうか？これは、「住宅性能表示制度」で定められた基準です。この制度は、法律にもとづいて住まいの性能を共通のものさしではかることができるもので、専門機関によって客観的に評価することができます。またこの制度と共に「住宅性能評価書」が交付された家は地震保険料の割引を受けられるなど、多くのメリットもあります。今回は、この「住宅性能表示制度」と「耐震等級」について詳しく解説します。

住宅性能表示制度とは2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律（以下「品確法」という。）」に基づく制度です。

上記の2番目に掲げた「住宅性能表示制度」は、消費者が良質な住宅を安心して購入できるようにつくられた制度です。構造、省エネルギー性、遮音性など住まいの性能に関して共通のルールをつくり、第三者の登録住宅性能評価機関によって客観的に確認・評価されます。また、この制度をもとに国土交通大臣に登録された評価機関により「住宅性能評価書」を交付することで、住まいの品質を確保できます。

「住宅性能表示制度」では、住まいの”安全・安心・快適”の基本となる10項目の基準を設けています。新築住宅における性能の表示項目には10分野33項目があります。

上記のうち、下記の４分野が必須項目となっています。また、「住宅性能表示制度」は「等級」によって項目がランク付けされています。

地震などが起きた際の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさなどを評価。等級が高いほど地震に対して強いことを意味します。このほかにも、強風や大雪に対する強さに関する評価もあります。

サビや腐敗などによる劣化を軽減する対策が、どの程度講じられているかを評価したものです。木造の場合は主に土台や柱が腐らないようにするための対策を、鉄骨造の場合は主に鉄の部分が錆びにくくする対策を評価します。

配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価。等級が高いほど配管の清掃や補修がしやすいことを意味します。

暖房や冷房を効率的に行うために、壁や窓など断熱などがどの程度されているかを評価。また、暖冷房、換気、給湯、照明などの設備や太陽光発電など創エネルギーを総合的に評価します。

「耐震等級」は品確法に基づく「住宅性能表示制度」の評価項目の一つです。「耐震等級」は地震に対する建物の倒壊・損傷しにくさを基準とし、3つのレベルに分けられています。等級数が大きいほど耐震性能が高いことを示しています。

建築基準法に定められた「耐震基準」と同程度で、最低限の耐震性能を満たします。震度6強から7に相当する大地震で倒壊しない程度の強度を持ちます。地震が起こった後に補修が必要になり、大きな損傷があった場合には建て替えが必要になるケースも考えられます。

等級1の1.25倍の倍率の耐震性能で。「長期優良住宅」として認定されます。災害時の避難所として使用される学校などの公共施設は、この基準を満たす必要があります。

等級1の1.5倍の耐震性能で、災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署などの多くに採用されています。大地震でも損傷が軽微に抑えられます。

2016年に発生した最大震度7の熊本地震では、「住宅性能表示制度」を利用した木造住宅のうち、「耐震等級3」に該当する建物には大きな損傷は見られなかったという調査結果もあります。また「住宅性能表示制度」が創設されて以降で木造建築の被害状況を比較すると、建築基準法レベル※で無被害だった建物は6割ですが、「等級3」の建物は9割近くが無被害であることも確認されました。

「耐震等級」とよく似た言葉で「耐震基準」があります。これは、建物内の人命を守ることを目的に、建築基準法により定められた基準です。関東大震災の翌年1924年に明文化されて以来、複数回にわたって見直しが行われてきました。直近では1995年の阪神・淡路大震災を受け、2000年に改正されました。耐震基準は、大きな地震が発生するたびに年々厳格化されてきており、今後、家を建てる際には、最新の建築基準法が定める「耐震基準」をクリアする必要があります。「耐震基準」は住宅の耐震性能を表す最低基準として、「耐震等級」の基盤になっています。

物件広告などで「耐震等級3相当」と示されるケースがありますが、「耐震等級3」とは全く別のものです。「耐震等級3相当」とは、「耐震等級3」に相当する性能はあるが、住宅性能評価機関への申請をしておらず、正式な認定を受けていません。建物を建てた会社以外の専門機関による評価や証明書があるわけではないので、注意が必要です。

「耐震等級」など「住宅性能表示制度」は任意の制度です。「住宅性能評価書」を取得しなくても、建築基準法を満たしていれ住宅を建てることはできますが、「耐震等級1」以上であることが前提となります。「耐震等級」を上げるほど安全性は高まりますが、コストがかかり間取りの自由度が下がる可能性もあります。

「耐震等級」が高い住まいは、地震への安心感だけではなく資金面でもメリットがあります。例えば、住宅ローンの金利優遇が受けられる可能性があります。

「耐震等級」を取得すれば、地震保険において最大50%もの割引を受けられます。ただし割引を受けるには、認定通知書や設計内容説明書などの書類の提出が必要です。詳しくは損害保険会社にご相談ください。

「長期優良住宅」とは、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づいて認定された住まいです。「耐震等級2」以上であれば、長期優良住宅の認定条件を満たす可能性があり、多くのメリットを受けられます。

・住宅ローン控除の拡充

・固定資産税の減税

・地域型住宅グリーン化事業の補助金

・不動産取得税の減税

・投資型減税

・登録免許税の税率引き下げ

ライフデザイン・カバヤの新木造軸組工法「CLTハイブリッド構法」を採用した木造住宅なの場合、「耐震等級３」の高い耐震性能を持ちながら、間取りの自由度も実現しています。　　「CLTハイブリッド構法」は、木造軸組工法を基準として、CLTパネルを耐力壁として組み込んだ画期的な構法です。万が一の地震の際も安心感が高まり、木の温もりあふれる心地よい暮らしを手に入れることができます。

今回は「住宅性能表示制度」と「耐震等級」について解説しました。「耐震等級」は「住宅性能表示制度」にもとづいて「住宅性能評価書」に記載されており、地震から家族を守る大切な指標となります。また、「耐震等級３」を備えた住まいは、資金面や資産価値としても大きなメリットがあります。木造住宅を建てる際は、「耐震等級３」を実現する「CLTハイブリッド構法」を採用した住まいを、ぜひともご検討ください。