いま、注目を集めている木質建材のCLTをご存じですか? 従来の木造建築における弱点を克服し、林業が抱える問題やSDGsの目標にも貢献すると言われています。オーストリアをはじめ、ヨーロッパ各国や北米地方、オセアニア地方などで規格作りや工場生産がスタートするなど世界各国で急速な広がりを見せ、新しい建築の可能性に期待が寄せられています。本記事では、このCLTについて分かりやすく解説していきます。

木造住宅にCLTを採用すれば、地震にも強く 自由なデザインの快適な住まいが実現!

CLT(Cross Laminated Timber)とは

ひき板(ラミナ)を並べた層を板の方向が直交するように 重ねて接着した大判木質系材料

CLTとは「Cross Laminated Timber」の頭文字をとった略称で、日本語では「直交集成板」と呼びます。材木を切り出してラミナと呼ばれる細長いひき板に加工し、同じ繊維方向のラミナを並べて一枚の板を作ります。この板同士を木目の繊維が縦横に互い違いになるように何層かに積み重ねて接着し、圧縮して固定化してできた大きな一枚のパネルが完成します。この木質系材料がCLTです。木材は水分を吸収したり放出したりすることで収縮しますが、縦方向にはほとんど変化がありません。木材を直角に積層し接着しているため、収縮変形を抑えられ寸法が安定し、強度が高くなります。

ヨーロッパ発祥の新しい建材で東京2020でも使用

CLTは、1990年代中頃からオーストリアを中心として発展し、現在では、イギリスやスイス、イタリアなどヨーロッパ各国でも様々な建築物に利用されています。またカナダやアメリカ、オーストラリアでもCLTを使った高層建築が建てられるなど、CLTの利用が世界各国で急速な広がりを見せています。日本では2013年にJAS(日本農林規格)でCLTの製造規格が制定され、2016年に建築基準法でCLTに関する法律が施行されました。東京2020大会では、国立競技場の選手更衣室ロッカーや、休憩スペースのベンチのほか、屋外エレベーターの外壁にもCLTを採用。また東京・晴海の選手村では、隈研吾氏がデザイン監修を担当し、CLTパネルと鉄骨、集成材を組み合わせたパビリオン「CLT PARK HARUMI」が建設されました。この施設は現在、岡山県真庭市に移築され「GREENable HIRUZEN(グリーナブルヒルゼン)」という名称に生まれ変わり、サステナブルの価値を発信する拠点となっています。

木造住宅にCLTを採用すれば、地震にも強く 自由なデザインの快適な住まいが実現!

東京2020大会における隈研吾デザイン監修のCLTパビリオン

一般の注文住宅に、CLTという新たな選択肢。

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木造軸組構法とCLTのハイブリッド化

ライフデザイン・カバヤは、木造軸組工法を基準として、従来からある耐力壁に代わり、CLTパネルを耐力壁として組み込んだ、新木造軸組工法の「CLTハイブリッド構法」を開発しました。当社の注文住宅にて展開し、一般戸建住宅においてもCLTの活用を広げていきます。

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壁の中にCLTHBパネルを耐力壁として配置し、従来の壁仕上げのまま、高耐力を実現しました。

耐震等級3の、大地震に耐え抜く高い耐震性能

地震活動のパターンは本震・余震型と群発型に分かれ、どちらも繰り返て活動が続きます。「CLTハイブリッド構法」は、実際の地震災害を想定して、巨大地震と強い余震の繰り返し実験を実施。縦揺れ・横揺れの実際の地震波(震度5~7)にも耐え、合計70回の振動に耐え、被災後も構造体に大きな損傷はなく、簡単な補修及び補強でそのまま住み続けられることを実証しています。さらに、東日本大震や能登半島地震などの地震波にも耐え、構造体へ大きな損傷がないことも確認できました。建築基準法における耐震等級は、震度6強〜7の地震にも耐え、災害発生時に救護支援や復興拠点となる警察署や消防署などと同等レベルの「耐震等級3」を確保しています。

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「省令準耐火構造」認証で火災から守る

一般的に木は燃えやすいため、木造建築は火災に弱いという印象を持たれるかもしれません。CLTハイブリッド構法の住まいは、CLTHBパネルに石膏ボードによる耐火被覆を施すことで「省令準耐火構造」に対応。燃焼実験の結果、CLTパネルは1分間に1㎜程度の速度でしか燃え広がらず、試験終了後もCLTパネルの表層しか燃えないことが確認されました。万が一火災が起こっても、家族の命を守ります。

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※「省令準耐火構造」とは、住宅支援機構が定める基準であり、建築基準法の準耐火構造には該当しません。

プランの自由度と開放感が高まる

構造体を支えるための筋交いや耐力壁によって、住まいの開口部は制約を受けますが、「CLTハイブリッド構法」では、構造壁を少なくでき、柱や梁を最小限に抑えることができるため、間取りや開口部のデザインの自由度が高まります。光と風を十分満喫できる大開口が可能となり、開放的で広々とした室内空間を設計しやすくなります。また通常は、家を支えるためには「耐力壁」が必要で、リフォームの際も取り払えない壁がありますが、耐力性の高い「CLTハイブリッド構法」は耐力壁の数が少なくなり、リフォームの際もより自由度の高いセカンドプランを楽しめます。

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「第二の森」として脱炭素に貢献

森林の木は、光合成により大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、炭素として貯蔵します。木を豊富に使った住まいは、吸収した二酸化炭素を炭素として固定化する、まさに「第二の森」の家です。吸収したCO2は燃やさない限り、木材から大気中に放出されることはなく環境保全に貢献できます。また、木は大きくなると二酸化炭素の吸収量が減るため、伐採して住まいづくりに使うことで森を若返らせることが大切です。木を活用するCLTの住まいは、地球温暖化を防ぎ、脱炭素社会の実現に貢献するのです。

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木の多彩な魅力を満喫できる

「CLTハイブリッド構法」はCLTをそのまま見せる現し仕上げが可能です。内装を木質仕上げにすることで、心理面、身体面・衛生面においてプラスの効果が期待できます。木の香りには「フィトンチッド」というリラックス成分が多く含まれており、木の温もりや目や手触りは、あたたかな気持ちにしてくれます。また、鉄やコンクリートに比べて熱を通しにくいため、冬の寒さや夏の暑さから私たちを守ります。さらに調湿作用によってダニやウィルスの繁殖を抑えてくれます。 

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木造軸組構法とCLTのハイブリッドで価格も安く

現在、ビルや公共施設など大型の建築物が一般的ですが、CLTの使用量が多く、パネルも大きくなるため運搬コストも高くなります。木造軸組工法とCLTの耐力壁を組み合わせた「CLTハイブリッド構法」は、CLTの量が増えすぎず、通常の木造住宅と同程度の工期で対応でき価格も抑えることができます。また、政府も積極的にCLTを活用できる環境整備も進めており、補助金や助成金などを活用することもおすすめします。

まとめ

いかがでしょうか?ライフデザイン・カバヤの「CLTハイブリッド構法」は、耐震性や耐火性など安全面にも優れ、空間設計の自由度においても魅力的な次世代の建材といえます。さらに、林業・木材産業の活性化と、CO2排出量の削減や森林保全にもつながります。木に囲まれて暮らすことのメリットを享受し、持続可能な社会に貢献する「CLTハイブリッド構法」を注文住宅にて展開し、CLTがもっと身近なものになるよう広げていきます。

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