松山いいとこ、
もう、ずいぶん前のことになりました。
数年前の夏の終わ頃、青春18きっぷで
普通列車しか乗れない、ゆっくり旅です。
2日目の昼頃に、松山に3時間ほど滞在しました。
松山市内を走る、路面電車です。
岡山では、路面電車というより「ちんちん電車」の
呼び方のほうが、わかりやすいかな、
ここの電車は、ごーーって加速して、
なぜか、大急ぎで走ります。
岡山の路面電車が、このような運転をしたら、
会社に、どしどしと、お叱りのお電話がありそうなのです。
長年に、はぐぐまれた一種の土地柄なんでしょうね、
松山市駅を出て少しのところにある
南堀端(みなみほりばた)駅から
道後温泉行きに乗りました。
道後温泉駅です。
ここが、坊ちゃん列車の始発駅と思うのです。
駅のすぐ横の売店が切符売り場でした。
切符を買いました。
案外高くなかったのです。
No1 と番号が書かれてありましたので
席の番号かと思ってお尋ねしましたら、乗る順番だそうで
1番に乗れるわけです。
1番に乗れば、どこでも好きな席に陣取れるわけですし
なにしろ、”1番に” が嬉しい。
ここに停まるのだと思うのですが、姿はありませんでした。
夏目漱石の小説「坊ちゃん」とのいわれや、列車の歴史が書かれていました。
出発まで時間があるので、
商店街の中をぷらり歩き。
少し歩くと商店街を抜けて、道後温泉。
温泉を楽しむ時間はないかな、
戻ったら、坊ちゃん列車が停まっていました。
初めて観ました。
ネットで見れば即でしょうけど、
前もって出来るだけ調べないようにしています。
ので、初めて観る姿なのです。
バックし始めました。
今度は前進。
目の前。
停まりました。
車掌さんに切符をお渡ししましたら、
なんと、はさみで切ってくれるのです。
「切ってくれるんだっ」、思わず言いましたら、
私に渡しかかっていた切符を
もう一度手元に引き寄せて、
切る。ジュスチャーをしてくれたのです。
たぶん、私が無意識にカメラに手をかけたか、
そのような雰囲気を察知して、
写せるようにポーズをして下さったんだと思うのです。
私も、瞬時にカメラを構えて写させていただいたのです。
一瞬の出来事でした。
すごい、
以心伝心、阿吽(あうん)の呼吸、
なんというサービス精神、すごいプロ意識。
いっぺんに、松山が好きになりました。
ものすごく嬉しくなりました。
松山はいいとこだ。とほんとに思いました。
気分最上上なのです。
乗りました。しかも一番で、
乗客は全部で3人でした。
外にいらっしゃった車掌さんが、要所、要所で、
戸をあけて説明をして下さるのです。
明るくて元気で、好感です。
何度か、このように戸をあけての説明をして下さいました。
しばらくすると、女性の2人連れの方が下りられて
乗客は私だけになりました。
遠くでお話しするのもかえって変な感じですので、
車掌さんの近くに寄っていってお話しをしました。
坊ちゃん列車は、視界が今ひとつなので、
安全を確保するために、機関車にどうしても
2人乗らないといけないのだそうで、
小さな機関車の運転席に、ぎゅう詰めの感じなのです。
この小さな機関車と一両の客車だけのミニ列車を運行するために
車掌さんも含めて3人も必要なわけです。
松山城です。
右上に写っています。
「あれが松山城ですっ」 と、
元気に指差して教えて下さったので、写しました。
後ろのデッキです。
車掌さんと一緒にいます。
「機関車は、信号でもブルブルいってるんで、電車でなくて、ジーゼルですか」
お尋ねしてみました。
「そうなんです。蒸気機関車だと煙の問題もあるんでジーゼルなんです。」
とのことでした。
「電車だと、電気がいるからパンタグラフがいるんで、それじゃあ
デザインが台無しですよね」 私。
「パンタグラフ、あるんです。」 車掌さん。
「えっ」 私。
天井です。
要所、要所で、手動でパンタグラフを電線に接触させるそうで
「これによって、電気が流れて機関車の位置を知らせて
信号が切り替わるんでたいへん重要なんです。」 車掌さん
「この丸いのは重りで、パンタグラフが重くなく上げ下げできるように
バランスさせてるんかなあ」 私。
「そおうなんです。」 車掌さん。
電車同士のレールが、まともに交わっているのです。
全国でもここだけで、
とても、認可になるようなものではなくて
ここも認可になったのが不思議なくらいで
これから先も、認可になる可能性はまず無いので、
ずっと、ここだけだと思う。とのことでした。
「全国から鉄道マニアの方が、わざわざこの踏切を見に来られる。」
のだそうです。
「終点まで乗られますか」 車掌さん
「はい。そのつもりです」 私
「坊ちゃん列車が方向転換するところを見られたらいいですよ」 車掌さん
「はい。」 私
駅です。
終点の古町(こまち)駅だったのか、
手前の駅だったのか、思い出せないのです。
終点の古町駅に着きました。
降りる時に
「方向転換は、あの場所で見られたらいいですよ」 と、
見る場所までも教えてくださったのです。
ここから、2、30mくらい先のとこだったと思うのです。
教えていただいた場所にいましたら、
坊ちゃん列車が前を通りました。
えっ、
えっ、
ぼっちゃん列車が、少し持ち上がったと思ったら
回転を始めたのです。
一瞬の出来事でした。
急でしたので、持ち上がるとこは写せませんでした。
レトロな外観なのに、ハイテク装備。と思いました。
手で押して回すとこは、ご愛嬌かな、
回転作業終了、
前に進んで、
バックで戻ってきます。
連結できました。方向転換完了だ、
写真の真ん中のやや下の、レールの間に
写っている四角い板が方向転換場所なのです。
(回転中の画像を拡大してみました。)
このあと、ここ古町駅から松山駅まで、
普通の路面電車に乗って移動しました。
そろそろ帰らないと、今日中に家に着かないのです。
乗っていた路面電車の前を、偶然、坊ちゃん列車が通ったのです。
パンタグラフが上がっています。
車掌さん。運転士さん。がんばっておられるんだ。
楽しい思い出をありがとう。
帰りの列車から観た、瀬戸内海の夕日です。
おしまい。おしまい。